わずかな時間


by rin6174

カテゴリ:雑文・恋愛( 7 )

同じ想い

そこにはっきり見えていた

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今も・・・
by rin6174 | 2006-11-04 08:17 | 雑文・恋愛 | Comments(8)

まぼろし

 身体の中から噴出す不愉快な熱さに
 窓を開けると
 木々の間から覗いている
 悪戯そうに そこに立っている
 それは
 懐かしい恋人だった

 どこに居たの 今まで
 何故来てくれなかったの
 貴方が忘れていたの?
 それとも私が?
 早くここに来て私を抱きしめて

 貴方は動かない
 木々の間から 悪戯そうに
 私を見つめている

 裸足で 温い夜風に揺れる
 梢に急いで近づいて
 そこに居た貴方に縋り付くと
 私の手は貴方をすり抜けて
 私の肩を抱いていた

 そうだった

 貴方は黄泉の人となったのだ
 還ってきた魂が
 昼間の熱の揺らめきの名残と共に 地下から染み出したのだ
 そうして 温い空気に浮かび
 姿を変えて私の前に現れたのだ

 目覚めれば 夢と気付き
 余韻を噛み締めるいとまもない
 それでも 思い出してしまったのだから

 あらためて表に出て梢に近づき
 貴方の居た場所を抱きしめた
 私の手は
 私の肩を抱いていた
 涙があふれた
 恋が 終わらない

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by rin6174 | 2005-05-09 23:23 | 雑文・恋愛 | Comments(4)
     瞳のレンズで写し
     心で文を編み
     組み
     接ぎ合わせた

     目の前の何気ないシーンが
     伝えたいものに仕上がる

     胸の鼓動を感じながら
     携帯でアドレスを呼び出し
     大急ぎで指を動かしかけて気がつく
     もう しちゃいけないんだった こんなことは
   
     貴方に話せないと
     いうことがこれほど
     日々に穴をあける
     とは

     
by rin6174 | 2005-05-08 23:42 | 雑文・恋愛 | Comments(4)

ネクタイ


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男は美しい紐を首に絞める

そうして 女は美しいものが好きだ

好きな美しいもので

好きな男の首を絞めている
by rin6174 | 2005-03-27 23:47 | 雑文・恋愛 | Comments(15)

色鉛筆

あ、と気がついたが、何とも微妙な日だった。
バレンタインデーの、四日前。そして、彼と会うのは昨年の暮れ以来。
多忙な日々を過ごす彼にはずっと会えず、1か月以上の間、
我慢して我慢して、やっとお声がかかった。
そして私の想いの分にはおそらく足りないであろう、夜の数時間を約束した。
何を話そう、何を聞こう、何を着て行こう、何を・・・。
バレンタインデー。
そんな日を、彼が重要に考えているわけはないと思った。
そんな日の存在を、知らないような顔をして会おうか。
でも、ナンセンスを振りかざすのは、あまりに可愛くないように思える。
却って子供っぽいとも。
鞄の底に隠れてしまうような、小さくて高めのチョコレートを買おう。
そう無理やり考えを落ち着かせ、小さくため息をついた。


様々な手作りのためのものが揃うその大型店に行ったのは、
テナントで中に入っているケーキとパスタのレストランで
休日のランチを済ませるためだった。
この店は出す物は美味しいのだが、店のつくりがひどく少女趣味で居心地が悪い。
客層も女性同士や家族連れがほとんどで、私のような年の女が
一人で食事をするのは似つかわしくない、この店に、私は。
にこやかなウエイトレスの給仕でさっさと食事を済ませレストランを出たあと、
六階のそのフロアから、つまみ食いをするように不熱心に、並べられている品物を
眺めて降りていった。
もう、食事は終わったのだから、熱心になる必要なんてない。
だから、筆記用具や絵の具を置いているフロアまで降りた時、
お勧め商品をディスプレイするコーナーに本のようなものがあったのを
「何だろう?」と思って近づいたのはまったく偶然だった。
何故ここに本が?
彼が、本をよく読む人でなかったら、気づかなかったかもしれない。
私も本を読むのは好きだが、彼ほどではない。結局のところ、
チョコレートに添える贈り物を選ぶということには不熱心を装っていても、
頭の中は彼で一杯なのだった。
「irojiten」 イロジテン?
辞典のような装丁のケースの中に、薄めの書籍が三冊収まっている。
一冊抜いて開いてみると、書籍と思ったそれは、さらにケースだった。
果たしてそれは、やはりこのフロアにあるべきもの、色鉛筆だった。一ケースに十の色。

綺麗だが、どこか曖昧で、中途半端な色ばかり。
・・・最初の印象はそんな感じで、まだ「不熱心」だったのに、
鉛筆の色の名前を確かめたら心が動いた。
CELESTE BLUEが、天色 、SPRUCEが、針樅色、CACTUS GREEN、が仙人掌 ・・・
どれも、独特の美しい名前と思えて惹かれた。これのために、誰かが考えたのだろうか。
三ケース収まっているものが一集と称され、全部で三集あった。
だんだん気持ちが逸ってきて、私はそのケースを、急いですべて開いて、
色の名前を注意深く確かめた。
少しずつテーマを変えて色をそろえてあるらしく、
第一集はやや原色に近い鮮やかなもの、
第二集はアースカラーを加えた少し深めのもの、
第三集は、一集と二集のはざまを縫うように集めた感じの色目だった。
三度ほど、すべてのケースを開けては閉め、第二集の色の名前が殊に美しいと思った。
そしてケースをきれいに元通りにしまいながら考えていた。
これを、本当に彼に渡す・・・?  
これではまるで子供の頃お誕生日会に紙袋に入れて持っていった、
あのへんのものと一緒だわ。
私が貰ったら、嬉しいけれど。いいえ、違う。彼に貰えたら、きっと何だって嬉しいのよ。
ううん、貰えなくても、会えるだけでも、十分に。
悲しい。そして可笑しい。私はこんないい年になっても、気の利いたものひとつ選べない。
また、何かをごまかすように私は不熱心な様子で、ぶらぶらと売り場を見て歩いた。
少し高価なものを飾ってあるガラスケースに映った自分の顔は、
中年女の自信のなさがありありと滲んでいる。
いやだわ。このままだとまたどんどん落ちていってしまう。
色鉛筆じゃなくて、言葉の遊びよ。そうよ、そう思えば。  何より、綺麗な名前に
惹かれたのだから。
それを見てもらえるだけでも・・・いつもネクタイだということだって、
同じくらい気が利かないわよ。
きっと、そうよ。
無理やり自分の自信のなさをねじ伏せて、煽てて、もう一度、「irojiten」の前に立った。
・・・  彼が、戯れに描いた落書きの、繊細な線を思い出す。
これなら、チョコレートと合わせても、然程気を遣わせる値段にはならないわ。
お食事をご馳走していただくお礼として。それでいいじゃない。
気持ちに最後の駄目押しをして、手に第二集を取り、キャッシャーで支払を済ませた。
その店で贈り物の包装を頼むと、店のロゴが入った袋に入れられて、
太いビニタイでくいっと括られてしまうので頼む気にならず、
さらに包装紙とリボンまで買って、家に帰ったのは、そろそろ日も翳り、
寒さに肩を窄めて歩く時間だった。


フラメンコを見せるそのレストランは、新宿にあり、彼が予約してくれたのだった。
その日私は、一日外で仕事をする予定で、早く切り上げるための時間の調整はできたが、
着ていくものを決められないでいた。
とても久しぶりに会うのに、いつもの仕事着であるパンツは穿きたくなかったが、
無粋なコンピュータやプリンタを箱から出してセッティングしたりまた収めたりと、
ひらひらスカートを靡かせていてはやりにくい類の仕事だった。着替えを持つのは
野暮ったくて嫌だったし、大体出先では落ち着いて着替える場所も無かった。
散々考えた挙句、ひらひらのスカートで上だけ作業着というおかしな格好をして、
不自由に一日過ごした。
作業着は、車で客先に来て一緒に仕事をした同僚に、持ち帰ってもらった。
そんな滑稽で様々な段取りを経て私は、夕方定時になったとたんそれでは、と飛び出して
客先の最寄り駅であらかじめ時刻を調べておいた電車に飛び乗り、新宿に向かった。
悲しいくらい逸る気持ちを辛うじて抑えながら。

初めて見るフラメンコは官能的で楽しめたけれど、私は、彼が口を開いて、
いつものように小さめの声で何か話すたびに、彼に集中してとても注意深くそれを聞いた。
そして、フラメンコを彼と楽しんでいる私を、味わった。
彼がグラスのワインを飲みきるごとに、私は穏やかな気持ちになった。
自分の前で、気持ちを緩めていてくれているような気がしたから。リラックスして欲しかった。私の前だけで。
そう思いながら、一番うまい踊り手と思われるダンサーにだけ彼が、柔らかく拍手をするのを見ていた。

おおよそ彼に合わせて食事を進め、ステージが終わりに近づいた頃、
次に落ち着くところはどこだろうかと、考えていた。
今日、彼は私を抱くだろうか。
私は彼に、ものすごく抱かれたかったし、彼のことを抱きしめたかった。
思い切り強く。思い切り優しく。
一枚一枚洋服を脱がせて、芳しい香りのする肩に口づけて、そのままそこかしこに唇で、
指で触れたかった。
でも、花粉の悪戯にきちんと反応してしまう彼は今時期、とても調子が悪い。
それに、多忙な日々のおかげでやはり、疲れているように見える。
彼には、張り詰めた気持ちを緩めて、少しでもいいから羽を休めて欲しい。
それも、心から本当の気持ちなのだった。


コートを羽織りながら表に出ると、青白い月の下、新宿の駅近くは
まっすぐ歩くには避けなければならないほど人通りが多かった。その中を、確かこの辺に・・・と、落ち着いた雰囲気のバーがあると彼に言われて探しながら歩き始めた。
・・・ そうね、今日はそういう夜がいいかもしれない。ゆっくり静かに、彼とグラスを傾ける。
いろいろな、話をしながら聞きながら。そう、そういう時間も、過ごせるといいのかもしれない。
そういう、時間も、すてき。
そう小さく呟きながら、夜の新宿を歩いた。彼と並んで、追い越して、ついていって。
中々見つからないその店を探して、同じような道をぐるぐる歩いた。彼が疲れはしないかと
気になったが、人がたくさんいる街中を彼と、ぐるぐる歩けるのは嬉しいことだった。
月を見て、ネオン見て、彼を見て。ビルを見て、看板見て、彼を見て。
ぐるぐる、ぐるぐる。いつまでも今が続けばいい。
逢えずに我慢して押しつぶれていた心が、解き放たれて、清々と嬉しかった。
でも、さすがに同じ景色の路地が見えたのが三度目になった時、
よし、そろそろどこか決めよう、と、少し明かりを落としたあまりうるさくない店に落ち着き、
カウンターに並んだのだった。
仕事の話をする彼の言うことを、やはり私は注意深く聞いていた。
私が見ることのできない彼の様子を一言も聞き逃さないように、彼の方を向いて聞いていた。
時には、飛び切りの明るい笑顔を作り、時には飛び切り心和む優しい顔で見つめた
つもりだった。
そうしながらも、時計の針の角度が気になっていた。
短い針が容赦なく上を指し始めていた。
一分一秒が名残惜しく愛しい。時がこのまま止まればいいのに。
そのうち、彼が生欠伸を始めた。

そうだ、このまま時が止まるはずはない。  休んで、もらわなくちゃ。
「あのね、私、貴方にあげようと思って・・・子供みたいではずかしいんだけれど」
ひどく言い訳じみた台詞を言いながら薄紫のリボンを結んだ包みを渡した。
彼はその場でリボンを解き包みを開いて、思いがけない、良いものをありがとうと、
いつものように、その品物についての感想と共に丁寧なお礼を言ってくれた。
その瞬間に私は、やっぱり、こんなものやめておけばよかった、と思った。
もう、いいから早くしまって。私の目の前からどこかへ、やってしまって。
こんな子供じみた贈り物は、きちんと心が通じ合えている人にこそ喜んで受け取ってもらえる
ものなのであって、彼と私の間では、受け容れてもらえるはずのないものだった。

わかっていた。

そうして、彼の携帯電話にはプライベートな電話がかかり、私はひどく後悔しながら
彼が席に戻るのを待っていた。
その後の彼の言葉を聞きながら寂しい思いをどうしようもなく抱えて彼を見ていた。
そして、また彼は生欠伸を始めた。
「もう、行く?」 そう訊いた時私の寂しさは頂点に達して、そこから先の行き場を失い、
ぽっとり落ちた。
その言葉をきっかけに席を立ったわけではなかったけれど、
そこから気まずくならない程度の丁度良い間隔を経て、
私たちはそのBARを後にしたのだった。
酔っていても肌寒い夜の空気の中、彼が何かを探しているように見えた。
食事やお茶だけでホテルに寄らない日、いつも細い路地や、ビルの暗がりで
彼は私を抱いて、キスをした。
そうできる場所を探してくれているのだろうか。少し寂しくなりすぎて風邪をひきそうな心を
抱えた私は、そんなことも今日はないだろうと、浮かない気持ちで歩いていた。
しかし、彼は映画館の下りかけたシャッターを潜った。
壁に貼られた、成人映画の灰汁の強いポスターを目の前に、私たちはキスをした。
両手で押さえ込んでも、すり抜けていってしまうような寂しさを、
どうにか気持ちの隅に押しやって、私は彼の柔らかい唇を、繰り返し押し包んだ。
舌に舌を絡ませた。左手の指で、彼の耳を輪郭に沿ってなぞりながら。
映画館のガードマンに、「はい、閉館ですよ」と、事務的に追い出されるまで繰り返した。

電車で彼が降りる駅まで隣にかけて、やはり彼の言葉に注意深く耳を傾けていた。
けれど、彼が降りる駅は、まるで駅が彼を迎えに来たようにさっさと姿を現わした。
いつも、振り向いても一度だけで、その後はさっさと歩いて行ってしまう彼が、
ひどく丁寧に電車に乗ったままの私を見送ってくれて、
その姿を却って寂しく悲しい思いでじっと見ていた。
この先、また、逢えるときがあるのだろうか。
彼が見えなくなってから、電車に乗ったまま私は、周りの乗客にわからないくらいに
そうっと、泣いてみた。
今晩、私は、少しは気持ちが治まったのだろうか。それとも寝た子が起きたのだろうか。


翌日は祝日で、目は覚めていたけれど、昨晩のことを考えていた私は
ベッドを離れる気がせず、天井を見ていた。
・・・  彼は今日を、どう過ごすのだろう。
彼に、これからとても忙しくなるからたまにしか会えないんだと言われてからあと、
休みの朝起き抜けに思うことはいつもそれだった。
我ながら情けないと思っているけれど、どうしようもない。
彼は私と会ったところで、確かに面白くもなんともないのだ。
わかっている。わかろうとしてまじめに考えたから、ちゃんとわかっている。
でも、わかったからといって納得できるわけではない。
何もする気にならずただ天井をながめていたら、
目覚まし代わりに枕元に置いている携帯電話が三回鳴った。メールだ。
横になったままで発信者を見る。

彼からだった。
ベッドの上で半身を起こして本文を見た。
「昨日はけっこう酔ってしまいました
楽しくお酒を飲みました
ありがとう
色鉛筆はそのうち
ゆっくりした時に使わせてもらいますよ」

・・・   そう。
携帯の画面に目を落としたまま、軽い溜息をついた。
使わなきゃなんて、思ってもらわなくてもいいのよ。もともと
色の名前が言葉として気に入って買ったのだから。
忙しいのがわかっているのに、ただの遊び道具なんて贈らないわ。
折角逢えた翌日の朝のメールに、色鉛筆についてのコメントなんていらなかった。 
「貴方の、そばに置いてくれれば良かっただけなのよ」
一人呟いたセリフは、かすれて声になっていなかった。
息が半分混じって所在無く、宙ぶらりんに部屋の空気の中にぶら下がっていた。
by rin6174 | 2005-01-23 00:42 | 雑文・恋愛 | Comments(8)

別れの情景

貴方の顔をまっすぐに見つめて
あとからあとから涙があふれて止まらなかった
自分の幼さやいたらなさを恥じ入る気持ちと
後悔と愛おしさ、懐かしさが綯い交ぜとなって
私の涙を止まらせなかった

ここに訪ねて来るまでの電車の中で いえ
ここに訪ねて来る日のずっとずっと前から いえ
もっと言えば貴方と暮していた時から
ずっとずっと
言うべきこと、伝えたいことを、紡ぎきれないままに
細くて頼りない糸を、ただ手繰り続けていたのだった

何も口から発せられないまま
私は ただ瞳から涙をあふれさせていた
目の前の貴方の顔はゆがんだままで
貴方も、ずっと黙っているのだった

けれど 終わりはきちんと近づいてきていて
私たちは それをわかっていたのだ
by rin6174 | 2004-12-22 00:59 | 雑文・恋愛 | Comments(0)
   私の言葉はどれほど拙かったのでしょうか
   彼の答えを聞いていると 彼には
   私の口から搾り出した言葉の
   一割ほども
   伝わってはいないようでした

   きっと
   自分の会話や文章が幼く拙いのだと
   必死の思いで綴った何枚もの便箋の
   その字の羅列を
   今見るとひどく空しい気がします

   どれほど望んでも
   どれほど願っても
   叶わぬものがあると
   当たり前なことに気が付いたのは
   それほど前のことではありませんでした
   仕方の ない
   ことなのでした

   つまらない独り言
   そろそろお湯が 溜まります
   温まったら、おやすみなさい
by rin6174 | 2004-12-14 23:33 | 雑文・恋愛 | Comments(0)