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お弁当は、ハンバーガーだったんだ
母さんが焼いたハンバーグを パンにはさんだ、
ケチャップとソースを混ぜたのがかかってる、お得意のやつだ

そいつで、兄さんと僕はおなかをいっぱいにして、
また勇んで遊びに飛び出してった

二人でジェットコースターと
海賊船と、コーヒーカップに乗ったあと、
父さんと一緒に、兄さんと僕はかわりばんこにゴーカートに乗って
最後に、父さんと母さん、兄さんと僕
四人で、観覧車に乗った

お日さまはもうだいぶ西の空にかたむいていて
楽しかった一日が終わってしまう寂しさと悲しさで
なんだか僕は涙が出そうになって
ずっと みんなに顔を見せず、外を向いて
遠くの小さな乗り物や
もっと、ずーっと遠くのビルや、海や、橋を見ていた




来るときあんなにうきうきしてくぐった入り口を逆向きに
とぼとぼと出て行って
もう一回だけ振り向くと
お日さまがいなくなったあとの空には
赤く染まった雲と
色とりどりの光で飾られた観覧車がいた










どうしてあんなに美しくて悲しい青だったんだ



目が覚めて、知らずに流れていたらしい涙を拭い、
カーテンを開けて、窓の外を見ると
あの頃の僕と同じくらいの子供  僕の息子が
二つ持っていたグローブの一つを急いで脇にはさんで、
にやっ と笑って、僕に手を振った
父さん
僕は あの時の父さんみたいに
後ろにいてくれるだけで安心できる、そんな父親になれるのかな





大きく背伸びして、両手で音をたてて頬を叩き、後ろを振り返る
フレームの中で静かに笑う父さんは
止まった時の中で、年々かっこよくなっていくみたいだ

by rin6174 | 2010-09-06 20:59 | 心の想い | Comments(8)

Commented by seawolf_squall at 2010-09-07 11:42
夕暮れ後の観覧車が絵画のようですね。
微妙に傾いて見えるところが尚更絵画的な印象です。
夏の終わり=夏休みの終わりも感じて寂しさが胸に来ます。
この歳になっても夏の終わりは何故か寂しい。
別に長い夏休みがある訳でも素敵な出会いを
夢見る訳でもないんですけどね。
Commented by choco-one at 2010-09-07 16:58
こんにちは。
きれいでせつない夕暮ですね。
でも、きっとまた明日が来るさって思えそう^^
明日はまた楽しい一日になる。
大したこともせずに毎日を過ごしている割に前向きな考え方だなー自分^^;
Commented at 2010-09-07 23:11 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by rin6174 at 2010-09-09 22:15
シャチさん

コメントありがとうございます

それは、おっしゃるように、夏=夏休み というイメージが強いからなのでしょう
子供の頃・・・長ーい、もしかしたら永遠に続くのではないかと思える程の休みの到来
何をしようか迷うほど頭に浮かびすぎて、嬉しすぎて・・・
終わることなどまったく考えられない
それだけに、終わるときが近づくとものすごい喪失感で・・・

その強い印象のせいか、こんな年齢になっても、
夏の到来は嬉しく、夏が去るのは寂しいです
何を期待するわけでもないのに
今年の夏は、色々あって・・・何時にも増して、
去りゆく夏が寂しく、名残惜しく  思います
Commented by rin6174 at 2010-09-09 22:25
choco-oneさん

コメントありがとうございます

海の彼方に沈んだ太陽は、
やがて逆の地平線から、輝く姿をあらわしますね

少し先のことすら、確実なことなど誰にもわからない
けれど、一日の終わりには、輝く太陽が昇る、明日の到来を信じたい

そんな明日は、きっと良い日だと思いたい いえ、そう信じられる
そうですよね、choco-oneさん(^^

Commented by rin6174 at 2010-09-09 22:35
鍵コメ2010-09-07 23:11 さん

コメントありがとうございます

私が、昔の懐かしい笑顔に会えるのはいつのことなのか
私にはわからない  勿論誰にもわからない
でも、その日は必ずやってくるし、誰にも訪れる

それまで、小さなことも大事にして
ひとつひとつ 愛おしんで、生きてゆく

命が無くなることは、魂が無くなることではない
そうでしょうか、鍵コメさん



Commented at 2010-09-22 23:35 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by rin6174 at 2010-10-11 06:28
鍵コメ2010-09-22 23:35さん

お返事遅くなり、申し訳ありません

生きている間は、精一杯生きることで魂は育つのでしょうね

最善の死を迎えることと、もうひとつ 「求める魂に出会うこと」
魂の成長の目的と理由は、そこにあるのかもしれませんね

色々気付き始めると、自身の魂の小ささ未熟さにも気付き、めげてしまいますが(苦笑)

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